「脱炭素の第一歩」国産材専門の協和木材が太陽光発電を導入
国産スギ・ヒノキなどの国産材の安定供給に尽力する協和木材株式会社は、福島県東白川郡の塙工場に2023年、太陽光発電設備を設置した。国内有数の製材事業者である同社の脱炭素に向けた取り組みについて、技術部の岩村副部長と斎藤さんに話を聞いた。
塙工場 屋根全面に配置された太陽光パネル(撮影:協和木材)
協和木材は国産材の専門事業者として、立木の購入から製品販売までを一貫して手掛ける国内有数の規模を誇る。2021年の製材量は58万立方メートルに上り、国内第2位のシェアを占めている。東北3県に大規模工場とストックヤードを備え、国産材の安定供給と日本の森林資源の適正な循環利用に力を注いでいる。
そんな協和木材が、福島県西白河郡にある塙工場の屋根に、再生可能エネルギーの活用として太陽光発電設備を設置した。
「電力会社と交渉して電気代を下げる努力もしていましたが、根本的な解決にはつながりませんでした。そこで、太陽光の検討を始めました。当初から再エネ導入に前向きでした。」と岩村副部長は言う。
SORAIソーラー(自社での太陽光投資)を選んだ理由は、価格が適切だったことと、国の補助金をきちんと活用できる実績があったからだそうだ。他社もいくつか検討したが、当社の提案が一番良かったという。
「発電シミュレーションがとてもわかりやすくて、経営陣に説明しやすかったです」と岩村副部長。
1,678.08kWの太陽光パネルを設置した協和木材の取り組みは、環境にも従業員にも大きな恩恵をもたらしている。
設備の稼働データは当初の見込み通りで、年間の発電消費量は、工場の電力の17%を賄う1,439,772kWhあった。CO2排出量の削減効果も大きく、太陽光発電の導入後は年間597トンのCO2を削減できたとのこと。さらに、電気代削減額は年間2,200万円にものぼった。
さらに意外な効果もあったという。
「従来なら40度にもなり、扇風機を抱え作業しているような環境でしたが、太陽光を載せてからは、二重屋根化で工場内が涼しくなり、今では暑さは気にならなくなっています」(斎藤さん)
(引用元:協和木材WEB)
環境負荷の低減に加え、快適な職場環境にもつながったことは、導入前にも説明があったが、想像以上にメリットを感じているという。
さらに同社では、太陽光を導入したあとで、余剰電力を使ってフォークリフトを動かせるようにしようと、段階的に電動フォークリフトに切り替える取り組みもスタートした。
導入されたEVフォークリフト(撮影:協和木材)
「今回の太陽光発電が、再エネ活用の第一歩となりました。実際にEVのフォークリフトを入れてみたら、充電の時間が必要になるなど想定外のこともありましたが、実際に導入したからこその知見が溜まってきています」と斎藤さんは前を向く。
将来的には、二酸化炭素排出ゼロの工場として丸太・製品運搬車両のEV化、工場から排出されるウッドチップを燃料にした木質バイオマスで発電した電気で工場を稼働させるなど、サステナビリティを高める様々な取り組みについても検討していくそうだ。
「従業員一人ひとりの環境意識の醸成は、まだこれからの課題です。発電量を表示するディスプレイを置いて見える化を進めながら、機運を高めていきたいと考えています」(岩村副部長)
太陽光の導入が、脱炭素の取り組みを加速させている様子で、今後の更なる取り組みにも期待が高まる。